案件成立の裏側
新興市場における投融資と雇用を促進する規制改革
途上国でビジネスチャンスを見出す民間投資家をサポートするIFCとFIAS
ウガンダの農村経済の中核を成すトウモロコシは、農業、輸送、貯蔵、製粉、貿易といった分野に広く関わっている。この地域でのアグリビジネスへの投資を検討している投資家にとって、この分野は長年にわたり、品質基準の適用が不統一であるという課題に悩まされてきた。こうした不確実性が、貯蔵施設の改修や物流インフラ、あるいは加工能力への投資を正当化するのを難しくしていた。
品質基準の適用と執行を強化する改革により、その状況は一変した。その結果、認定を受けたトウモロコシ貯蔵施設が2カ所から24カ所に増加したほか、貯蔵、荷役、物流への投資も拡大した。さらに重要なことに、農業、輸送、製粉、貿易といったバリューチェーン全体で雇用の創出が進んだ。
こうした改革への支援は、世界銀行グループにおいて民間セクターの支援を担当している国際金融公社(IFC)が運営する多国間ドナープログラム「投資環境アドバイザリー・サービス・ファシリティ(FIAS)」の根底にある考え方だ。過去40年にわたり、FIASは、途上国における民間投資の最大の障害は、多くの場合、資本不足ではなく、資本を円滑に流入させるための条件――明確なルール、機能する制度、競争原理が働く市場――の欠如にあるという前提に基づいて活動してきた。国際開発協会(IDA)の借入国であるウガンダは、FIASとIFCが優先的に支援してきた国々の典型例である。
ウガンダは決して例外ではない。
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トウモロコシの認定貯蔵施設
品質基準のより明確な適用を通じ、不確実性の解消と投資の促進が進んだ。
全国的な展開
トウモロコシの
バリューチェーン全体の活性化
貯蔵、荷役、物流、製粉、貿易の
各分野において投資が拡大した。
業界全体へのインパクト
単一のプロジェクトを超えて支えられる雇用
雇用増加は、農業、運輸、製粉、貿易の各分野に及んだ。
エジプトのグリーン建築:建築物の認証制度がいかにして、それまで存在しなかった市場を生み出したか
建設業は、住宅、資材供給、観光関連開発にまたがり、エジプトにおける最大の雇用源の一つである。このセクターは成長を続けていたが、環境に配慮した建築手法はその成長ペースに追いついていなかった。新築需要が増加し続ける中でも、規制枠組みの不備、技術的なスキルの不足、開発業者によるビジネスケースへの認識の低さ、それに向けた資金調達の難しさといった要因から、従来型の建築手法が依然として温存されていた。
IFCとFIASは、個別のプロジェクトではなく、そうした根本的な条件の変革に向けた助言を行ってきた。このアプローチでは、より明確なガイドラインとインセンティブ、官民双方にわたる技術的能力の構築、さらにグリーンな建設が実用的かつ商業的にも成立し得ることを示すための初期の実証プロジェクトを組み合わせた。資金調達はこうした取り組みの中心的な役割を果たした。この活動を通じ、総額1億5,500万ドルに上るエジプト初のサステナビリティ・リンク・ローンの実現を後押しし、2億5,000万ドルを超えるグリーンファイナンス・プログラムを支援した。また、世界銀行の同僚たちとの連携により、14,000戸以上のグリーン公営住宅の建設を含む、手頃な価格帯の住宅供給の目標達成にも寄与した。
市場の反応は顕著だった。当初はEDGE(Excellence in Design for Greater Efficiencies)認証(IFCが導入したグリーン建築の認証制度)を取得した建築物がゼロだったエジプトだが、現在ではEDGE認証を取得した建築物の延床面積は180万平方メートルに達した。EDGEの認定専門家数は10人から80人以上に増加し、その半数を女性が占めている。また、有資格の審査員人数の拡大も追い風となっている。これらの建築物は、エネルギーと水の消費量を大幅に削減するとともに、排出量の低減も期待されている。
投資家にとってより重要な変化は、構造的なものだ。以前はグリーン建築を支える技術力、政策の枠組み、資金調達手段を欠いていた市場が、今やこれら3つすべてを備えるようになった。これにより、建設、エンジニアリング、資材、審査、金融などの分野にわたって、投資対象となる案件が次々と生まれている。「エジプト・グリーン・ビルディング2.0」が承認されたことで、次の段階では観光分野へと展開が進む。そこでは、より環境に配慮したホテルやリゾートが、観光客の需要拡大に伴い、雇用を支えつつ、運営コストと資源使用量の削減を可能にする。
180万平方メートル
EDGE認証を取得した建築物の延べ床面積
グリーン建設市場はゼロから築き上げられた。
1億5,500万ドル
エジプト初のサステナビリティ・リンク・ローン
新たな資金調達手段により、環境に配慮した建設プロジェクトの資金調達が可能となった。
14,000戸以上
グリーン公営住宅
の建設
パイロット事業を超えて規模を拡大し、建設業及びサービス業の雇用を支えている。
キルギス共和国の投資環境:投資家の撤退を防ぐ早期警戒システム
フロンティア市場ですでに事業を展開している投資家にとって、最も重大なリスクの一つは市場への参入ではなく、継続性にある。現地の取引先や規制当局との紛争が未解決のまま放置されると、経営リソースの浪費、法的リスク、あるいは資産の損失といった形で、最終的に多大なコストを要する恐れがある。場合によっては、投資家が市場から完全に撤退し、それに伴い雇用やサプライチェーンのつながりも失われることになる。
IFCは、キルギス共和国の国家投資庁内に、投資家苦情処理メカニズム及びアフターケア機能を設置する支援をした。その考え方は単純明快だ。つまり、新たな問題を早期に発見し、事態が悪化する前に解決への明確な道筋を築くことである。
この仕組みによって、2年間で3,800万ドルの投資を維持し、失われる恐れがあった812人の雇用を守った。規制手続きのオンライン登録制度は、事業環境を評価する投資家に透明性の向上をもたらした。このシステムは、フロンティア市場の投資家がしばしば欠いている、懸念事項が重大化する前に問題を提起するための明確で体系的なプロセスを提供している。
紛争が早期解決の段階を超えて深刻化した際は、世界銀行グループには解決に向けた正式な機関が存在する。世界銀行グループの「国際投資紛争解決センター(ICSID)」は、国際的に認められた仲裁手続きを提供しており、多くの投資家は長期的な投資を行う際、すでにこの点をリスク管理の枠組みに織り込んでいる。これらの機能は、早期の予防から正式な仲裁に至るまでの全段階を網羅しており、投資家が困難な環境下でリスクを管理するための、より包括的な手段を提供している。
3,800万ドル
維持された投資額
早期の紛争解決が、投資家の市場
離れを防ぐ一助となった。
812
守られた雇用者数
投資家の撤退を防ぐことで雇用の維持を実現した。
2年間
早期警報メカニズム
の成果
投資家苦情処理制度は、紛争が深刻化する前の解決を可能にした。
デューデリジェンスが見落とすもの:新興市場での取引成立を左右する政策条件
どの市場においても、民間資本は一貫した動きに反応した。基準の施行方法や市場インフラの機能、紛争処理の方法などにおいて、具体的かつ特定可能な障壁が取り除かれると、投資の実現可能性が高まった。企業は拡大し、それに伴い雇用も増加した。
これらの事例は、新興市場における厳格なデューデリジェンスにますます求められるもの、すなわち、国レベルの政治リスク評価だけでなく、特定のセクターにおける政策や制度的条件が実質的に改善されたかどうかを現場レベルで把握することの重要性を示唆している。
その成果は数字が物語っている。FIASの最新年次報告書によると、2025会計年度において、FIASは176件のIFCアドバイザリー・サービス・プロジェクトを支援した。そのうち3分の2はIDAの借入国で、3分の1は脆弱かつ紛争の影響下にある国々でのプロジェクトだ。わずか5年間で、FIASが支援したプロジェクトは2億1,100万ドルの新規の民間投資を創出または維持し、1億8,600万ドルの資金調達を促進するとともに、民間企業のコンプライアンスに係るコストを1億ドル近く削減した。
FIASは、資本の流入を阻む政策上の障壁の解消を支援することで、投資家の関心を投資へと、そして投資を雇用へと転換させる一助となっている。
FIASは、オーストラリア、オーストリア、カナダ、デンマーク、欧州連合(EU)、フランス、アイルランド、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、スイス、および米国の各国政府によって支援されている。
2026年4月発行